ただ、中国におけるエネルギー消費の総量を考えるとき、中国の1人平均消費水準が他の先進国に遠く及ばず低いという事実を無視してはならない。後発開発途上国であるが故に、中国には国民の物質面の福利厚生を改善する権利があるということも同じく重要である。国際機関であっても先進国であっても、総量の数字だけを根拠に中国を非難したり攻撃するのは非誠実で非人道的なやり方である。
当然のことながら、省エネ・排気削減を成し遂げることは、中国自身にとって歴史的な意味のある重要な課題となる。エネルギー問題が発展のボトルネックとして日増しに深刻さを増しているという背景もある。中国国内では、1992年にエネルギー消費総量がエネルギー生産量を上回って以来、エネルギー供給が消費に追いつかないという状況が続いている。こういったことから、中国のエネルギー消費を論ずる際に考慮すべき点は多岐にわたるのである。環境に優しいクリーン社会の建設を目指すのであれば、国内における過去のエネルギー消費関連問題についても振り返ってみる必要があるだろう。総じて言えば、問題解決の鍵となるのはエネルギー消費の構造を改善し、その効率を高めることである。
周知の通り、エネルギー消費構造の合理化は、中国エネルギー消費改善のかなめとなる。中国のエネルギー消費の特質を考えるとき、エネルギー構造において石炭が主役となっている点も見逃せない。近年の統計によると、一次エネルギー消費において石炭が往々にして七割を超える比率を占め、石油や天然ガスはそれを大きく下回っている。新エネルギー、特にクリーンエネルギーの比率はもっと小さい。