マ社の協力の下、中国は、当時においては数少ない幹線航空機の組み立てが可能な国の一つとなった。しかし、国内の航空会社は、中国国内で組み立てられた航空機に対してさほど関心を示さず、最終的に売れたのは僅か2機に留まった。さらに不幸であったのは、1997年にマ社がボーイング社に吸収され、その後直ちにボーイング社が、1999年以降MD-90の生産を中止することを発表したことであった。これにより中国とマ社の提携プロジェクトは突如として消滅するに至ったのである。
この事実から、一定程度の経済と技術の基礎を備えず、また自立・向上の精神もないままに、民間航空機製造業発展の期待を外国人の身上に託すというのは、現実的ではないということが明らかになった。マ社であろうとボーイング社であろうと、或いはエアバス社であろうと、彼らが中国と協力しようとする目的はみな、中国の市場に対する考慮から来るものである。このような背景の下では、彼らは中国の民間航空産業の独立と強大化を望みはしない。
したがって、高遠な志を持った中国商用飛機有限責任公司は、いつ発生してもおかしくはないバッシングや圧力に対する備えに、細心の注意を払わなければならない。寡占の甘い汁を吸い尽くしたボーイング社とエアバス社が、第三の勢力がライバルとして現れることを望みはしないことは、誰の目にも明らかである。そのライバルが中国の会社であるとすれば、尚更である。