急激な円高は日本経済に大きな打撃

急激な円高は日本経済に大きな打撃。

タグ: 円高 日本経済

発信時間: 2010-08-16 16:32:28 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

米国の経済減速や長期金利の低下、日米の金利差縮小などにより、日本、米国、欧州の外国為替市場の11日の円相場は1ドル84円台まで上昇し、15年ぶりの円高水準になった。12日も東京外国為替市場では再度高値水準に達した。アナリストは、急激な円高は深刻なデフレ状況に陥っている日本経済に大きな打撃を与えると懸念する。

第一に、円高は日本の輸出企業の収益を圧迫する。野村證券金融経済研究所によれば、対ドルで1円の円高になると、日本の主要な輸出企業400社の2010年度の経常利益は0.5%減る。特に自動車業界は2.4%、電機及び精密機器といった業界は0.9%減少するという。

日本の輸出企業の多くは2010年度の想定為替レートを1ドル90円程度に設定しており、対ドルで1円の円高になると、年間の営業利益はトヨタで300億ドル、日産で150億ドル減少する。高値を維持している現在の円相場に鑑みると、その影響の大きさは想像に難くない。

第二に、円高は日本企業の海外への生産拠点の移転を加速させる可能性がある。歴史的にみて、日本企業は円高に対応する手段としてリストラによってコスト削減をはかるほか、海外に生産拠点を移転させてきた。しかし、金融危機の勃発後、大幅なリストラを実施してしまったため、これ以上リストラするのは難しい。そこで、海外への生産拠点の移転を余儀なくされ、これによって国内産業の空洞化に拍車がかかる。

第三に、円高は日本のデフレ問題をさらに深刻にする。企業の業績下降、国内産業の空洞化によって国内の雇用や収入環境は悪化し、就業や消費に影響する。このところずっと、日本の失業率は5%以上にあり、国内消費も低迷しているが、これが日本経済の成長を制約する最大の障害となる。

日本政府や中央銀行は急激な円高に細心の注意を払っている。財務大臣や経済産業大臣が方向性を指示する発言を行い、中央銀行も為替相場は日本経済の動向に影響を与えるリスク要素だとしているが、いまだ対応策は打ち出されていない。市場アナリストは、現在の「ねじれ国会」の状況では、政府が速やかに対応策を打ち出すことは難しく、中央銀行がゼロ金利を実施して公開市場操作を拡大しても、米国が引き続き行っている量的緩和政策に相殺されてしまうと指摘する。

アナリストによれば、急激な円高を阻止する唯一の方法は、日米政府が協力して為替市場に介入することである。日本財務省は市場介入について米政府と協議することをすでに考えているようであるが、オバマ政権は輸出拡大によって国内の消費不足を補う政策を実施しているところであるため、日本と協力することは難しいだろうという見方が広がっている。したがって、日本政府と中央銀行がとれる方法は非常に限られている。

引き続き円高が進めば、或いは現在の高値を維持すれば、日本経済の成長は鈍化するだろう。野村證券金融経済研究所は、円相場が1ドル83円まで上昇すると2010年度の実質経済成長率は0.3%低下し、1ドル80円まで上昇すると0.6%低下すると予測する。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年8月16日

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