・中国に利益がまわる可能性も
この経済振興計画は明らかに不安要素をはらんでいるが、一部では成果があがるかもしれない。アジア太平洋地域に関する部分の計画が一つ有望な例だと言える。
今回の経済振興計画において、アジア太平洋地域は戦略成長分野の三つ目に挙げられている。日本が中国や東南アジアの強力な成長趨勢を借りて自身の成長材料にしようとしていることは明らかである。中国を含むアジア各国にとって、日本が積極的に地域参加することでどのような影響があるのかということが新たな命題となる。
「日本が地域参加を遂げたとき、中国に対する影響は間接的なものとなるだろう」と張季風は述べる。日本国内の振興計画であるから、中国へ直接の影響は及ばないという見方である。
日本のアジア社会への参加を経済的視点から考えるなら、貿易が重要な要素となるだろう。新経済成長戦略の報告書の中で、アジアとの自由貿易への参加によって経済成長を実現すると日本政府は明確に表明している。アジア産業センターを設立するといった独りよがりな構想と比べれば、自由貿易に関する日本の積極的な態度は、アジアのほかの国々にとっても好ましいものである。アジア市場で新たな経済成長の枠組みを模索する一方で、日本は自国市場を開放する必要にも迫られる。日本の消費市場の規模の大きさを考えれば、中国にとってもこれは大きな好機であると言えるだろう。
日本の農業は近年縮小傾向にあり、今回日本の農産品輸入が適切に規制緩和されれば、中国の農産品輸出に大きな市場が提供されることになると張震氏は指摘する。
このほか、技術の移転も加速するだろう。以前からASEAN諸国の企業が日本企業の買収を通して日本の先端技術を得ようという動きがある。このような情況は日本政府も決して歓迎していないが、策の施しようがないようである。事実、これは中国にとっても、日本の新技術を買い入れて技術移転を早められる良い機会である(作者は『投資者報告』の王昊分析員)。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年9月17日