そしてバブルは不可避的に崩壊し、銀行のシステムは麻痺、デフレが発生して、日本経済は今に至るまで活気を取り戻していない。
これらの出来事はすべて起こるべくして起こった筋書きだったと言える。というのは、『プラザ合意』は実は黒字の拡大が止まらない二つの国家を対象にしていたからである。もう一つの国家は統一前のドイツである。
1985年9月にG5がプラザホテルで会議を開いてから1990年12月に日経平均が最高値をつけるまでの期間、日本円とマルクはそれぞれ対ドル約40%の上昇幅をつけた。しかしドイツの状況は日本と対照的で、バブルらしきものが少しも見られなかった。日経平均は二倍に膨れあがったが、ドイツのDax指数は累計で50%上がったにすぎず、上昇幅は多くの主要市場よりも小さかった。また不動産価格に至っては小幅な下落となっている。
こう見てくると明らかなように、日本を衰退させたのは円高ではなく、日本政府の対応のまずさだったのである。重大な政策錯誤だったと言ってよい。従って、中国の台頭を本当に阻止したいのなら、中国が巨大な資産バブルを作るように仕向ければいいのである。