高成長を維持する中国経済。それに乗じて利ザヤを稼ごうと、国外から虎視眈々と狙っている輩も多い。金融危機のあおりを受け、生き残りに必死に見える米大手金融会社モルガン・スタンレーがその代表である。米国本土におけるモルガン・スタンレーの損失額は相当なもので、2009年の決算には、引き続き赤字が計上されている。だが実は、中国での業績は絶好調である。モルガン・スタンレーは1990年代にはすでに、アジア市場向け不動産投資信託を2つ(MSREF Ⅲ InternationalおよびMSREF Ⅳ International)新規設定している。そしてその資金の50%を中国、特に上海や広東といった大都市における不動産に運用している。モルガン・スタンレーは海外に住む華人や華僑といった仲介者を通じて、中国市場の開拓の布石を打っていた。GDP伸び率が、政府の功績の主な基準と見なされている現状において、地方政府の幹部らはいともたやすく、彼らの投資を受け入れてしまった。それからモルガン・スタンレーは、現地のデベロッパーの名義のもと、プロジェクト共同開発の権利を取得する。それから、中国側の持ち株を買い付け、会社の支配権を得た後は、不動産価格のコントロールや運営に乗り出すのである。モルガン・スタンレーは中国の「融資―不動産開発―賃貸管理―運営」の一連の産業において、すでにトップ企業として君臨している。
マイホーム購入は、中国人にとって強迫観念的な夢になっている。マイホームを購入していない者にはまるで社会的地位がないかのような概念が巷にあふれている。そして、マイホームを購入済みの者は、賃料などの副収入を夢見て、2軒目、3軒目の購入を講ずる。これを鑑みれば、中国の不動産市場のバブルはまだまだ膨らみそうである。住宅価格の値上がりは止めることができそうにない。モルガン・スタンレーは2年前、暴騰し続ける中国不動産市場向けに世界から集めた42億ドルもの資金を以って、不動産投資信託(MSREF Ⅴ International)を新規に設定している。その資金の50%が再度中国に投資されたため、不動産価格が再暴騰した。それを見た資本家(中央政府所属の国有企業も含まれる)が、遅れをとらじと、不動産市場に一気になだれ込んだため、土地売買価格が各地でぐんぐん上がってしまったのである。
モルガン・スタンレーが中国市場において展開する業務形態はますます多様化、大規模化している。現在、投資銀行1社、国内銀行1行、投資信託会社2社を有しており、不動産投資信託は6銘柄を設定、また個人向け投資ファンドおよび私募ファンドなど数多く有している。中国の不動産バブルは、米ウォール街の金融会社がふくらませたものである。彼らは、中国の不動産市場が暴落すると吹聴しては不動産を買いあさり、暴騰すると吹聴してはそれを売りさばき利益を得た。利益のために利用できるものはすべて利用しているのである。
不動産バブルは膨らめば膨らむほど、投資収益率も大きくなる。ゴールドマン・サックスが行った投資では、2005年には40%近くのリターンでしかなかったが、2年後の2007年には、リターン率は100%にもなっている。この数年、JPモルガン・チェース、シティバンク、マッコーリー、カーライルなどの会社はすでに、中国に保有していたマンションやテナントビルなどの物件を相次いで売りさばき、資金を不動産市場から引きあげている。その売却利益は100%以上とも言われ、買い手はほとんどが中国系企業である。こうして中国を食い物にした米金融会社は、マネーの世界の君臨者として、洗いざらい奪った後はさっと引きあげ、バブルが弾けるのを傍観するだけである。同情すべきは、不動産物件を売りつけられた中国系企業であり、最終的にそのバトンを渡される中国国民である。身ぐるみはがされないようにするには、米金融機構の吹聴には乗らないことが唯一の方法である。(「半月談ネット」25日付け記事)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年10月26日