G20ソウル・サミットの開催が近づくにつれ、各メンバー国の間では、「もみ合い」の動きが強まっている。各国は米国が打ち出した6000億ドルの量的緩和策に矛先を向け、これは多国間協力を取り壊す行為だと批判している。オバマ米大統領はソウル・サミットで他のメンバー国から非難を浴び、サミットで各国の通貨政策の立場が調整できなければ、市場では世界経済が再び混乱に陥ることへの懸念が高まるとアナリストは見ている。
世界銀行のゼーリック総裁は8日、G20メンバー国は需要のバランス維持と成長刺激で協力する必要があるとし、改善後の金本位制度を復活させ、金をインフレとデフレの判断材料にし、各国の為替レートの変動の目安にすることを提案した。
G20が「G19+1」になる可能性も
ドイツのショイブレ財務相は8日、十分な流動性がある中でFRBが量的緩和策を再び打ち出すのは、経済面で意味がないとし、「これは米国の財政策の信用を崩すものだ」と非難した。また、米国の為替政策についても批判し、「中国などの新興国が為替レートを操作していると米国は指摘するが、米国自身が通貨発行によってドルの為替レートを引き下げている。こうしたやり方は問題を解決する上で意味がない。ドイツの輸出における成功は、通貨措置に頼ったものでなく、ドイツ企業の競争力が高まったおかげだ」と話す。
ブラジルや南アフリカを含むG20の新興国メンバーは、FRBはドル安をさらに進め、大口商品価格をつり上げ、大量の現金を新興市場に流入させ、新興国のホットマネーの管理をさらに難しくしていると指摘する。
FRBのバーナンキ議長は、大量の国債買戻しは従来の通貨政策と同様に、米国ひいては世界経済の成長を刺激できるとし、「米国はインフレを引き起こそうとはしていない。しかし、FRBはインフレ抑制と雇用促進といった二つの使命を担っているため、物価が安定とされる水準を下回らないようにし、インフレの水準を今後の措置のシグナルとする必要がある」と弁明した。
世界銀行が金本位の復活を提案
各メンバー国の通貨政策をめぐる論争について、世界銀行のゼーリック総裁は8日、「為替制度改革の討論で、G20は金に基づく世界の準備通貨の使用を検討してもよい。これは各国経済の現状を表わすことができ、こうした新たな金本位制度をブレトン・ウッズⅡ体制に代わる体制と見なすべき」との考えを述べた。
「教科書では、金を時代遅れの通貨としているが、今の市場でも、金は通貨の代替資産として利用されている」とゼーリック総裁。
「ブレトン・ウッズ体制」は、1971年にスタートしたが、当時のニクソン米大統領は、「ブレトンウッズ体制」が定めたドルと金の交換停止を宣言した。
ゼーリック総裁は、「通貨と金の交換再開は実行可能で、極端に行うものではない」とし、「こうした新体制は、ドル、ユーロ、円、ポンド及び国際化しつつある人民元にもかかわる可能性がある」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月10日