G20首脳会議の4大動向

G20首脳会議の4大動向。

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発信時間: 2010-11-08 16:13:49 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

第5回目を迎えた主要20か国・地域(G20)首脳会議が、11日に韓国のソウルで開幕する。金融危機の対策として生まれたG20だが、ポスト金融危機の時代を迎えた今、6月のトロント会議では今後のG20の役割に対して疑問の声が絶えず上がり、G20の使命はいかにして「危機からの救出」から「経済回復」へと転換させるかが緊急の課題になっている。

1. 議題が細分化 難しい共通認識の達成

今回の会議でも、経済回復、金融監督、管理などのグローバル経済に及ぶ議題が含まれているが、金融危機の最も深刻な時期は乗り越えたことから議題はさらに細分化し、共通認識の達成はいっそう難しくなるだろう。

第4回のトロント会議からメンバー国の間では、金融監督や管理、銀行税、金融取引税、出口政策、為替レートなどの議題で大きな意見の食い違いがあった。G20の国際フォーラムとしての地位が固まるにしたがい、新興経済体が世界経済に関与する舞台に上がってきたことにより、議題の多様化はさらに進んでいる。

2.「心を合わせる」から「言い争い」へ

第1回と2回の会議では、金融機関への資金投入や経済刺激策、貿易保護の反対、銀行管理層の給与制限などが金融危機の蔓延を食い止め、世界経済回復への予期を高めるためのものであったことから、各国は結束して危機をしのぐ姿勢を見せ、非常に協力的だった。

しかしトロント会議では、世界経済の回復の基盤は弱く、各国の回復状況も異なっていたことから、各メンバー国は重要議題の討論で言い争った。米国は「雇用を促して成長促進」、EUは「債務を削減して危機を乗り越える」、新興経済体は「成長を確保して発展を図る」と唱え、これは金融危機対策で各国が一致した目標が少なくなり、重大な意見の食い違いが現れたことを示している。

3.ポスト金融危機の時代に迎えたG20の転換期

米国、欧州、発展途上国といった3大利益グループの意見の食い違いは、ポスト金融危機の時代に共同利益よりは地域やグループの利益、ひいては一国の利益を重視する傾向を示している。

マクロ経済学者の陳鳳英氏は、こうした時代にG20は、共同で成長を刺激することから経済成長を協調し、短期的な対応策から長期的な経済管理へ、受動的な対応から積極的な企画へと転換しなければならないと指摘する。

新興経済体を多く引き入れたG20が、いかにしてメンバー国が多いことで決断力の低下を避けるかは大きな試練である。新興経済体はG20システムの主な受益者として、手を取り合ってこの制度面の成果を守らなければならない。

4.G20分化して再構築の可能性も

米国経済が回復し、米国非難の声もだんだん弱まるにつれ、世界経済は新たな局面を迎えている。米国はG20の受益者、欧州は危機後遺症の被害者、新興経済体は引き続き参与者だ。経済回復を遂げた米国がG20を必要としなくなると、今後どこにG20は向かっていくのかということが今、試されているところだ。

ソウル会談を控え、米国と日本は中国のレアアース問題をG20に提起しようと何度かシグナルを発した。もしこの問題がG20の議題になると、米日を代表とする私利がG20に「侵入」し、G20は少数の利益グループが利益を奪取する道具になるおそれがある。

G20は金融危機といった特殊な出来事に対応するためのもので、こうした外部からの圧力がなくなると、G20の団結力は低下し、危機発生時の影響力が失われる可能性がある。新興経済体は、発展段階や経済構造面に大きな違いがあり、自身の利益の訴えや制度面の違いもあって、G20制度の無効化を加速する一因になるかもしれない。トロント会議ではこうした懸念も上がったが、それは決して杞憂ではない。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月8日

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