野村証券アジアの首席エコノミスト、ロバート・シュバラマン氏はこのほどメディアの取材に対し、「野村は中国経済の見通しは明るいとみている。この2年、中国は10%に迫る成長を維持するだろう」としつつも、中国経済に今後予想される3つのリスクを指摘した。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
第一のリスクは、中国経済は不均衡に成長していること。現時点の経済成長は、投資がGDP(国内総生産)の47.5%を占め、他の国が急成長していた時期の投資比率を大きく上回っている。一国の投資がGDPの50%近くを占めるとリスクは高まる。というのも、投資が一旦ペースダウンすると、経済の伸びに負の影響をもたらすからだ。中国が今最も取り組むべきは内需と消費の刺激だという。
第二のリスクは、労働コストの上昇だ。中国では賃上げのペースが速く、将来、農村部の余剰労働力の供給が低下しだすと、製造業では労働者の賃金交渉力が強まる。アジアのもうひとつの国、日本で賃金が一気に上がったのは1965年ごろだった。ちょうど第2次産業、つまり工業が第1次産業の農業を追い抜いた時期で、労働者の賃金が急上昇した。野村は、中国の第2次産業が第1次産業を上回るのは2015年頃と予測している。これにより、消費が促進される一方、インフレのリスクも高まるという。