第二次大戦以後、経済成長率10%を30年にわたって続けた国家や地区は、中国をおいて他にない。日本や韓国、他のアジア諸国などの新興工業地域が高度成長を比較的長く続けた時期があったが、それでも平均の成長率は10%に達していない。30年という数字はなおさら論じるまでもない。歴史的に見ても、中国経済の高度成長が30年続いていること自体が常識的ではないのだ。ならば、いま仮にこの成長がさらに今後30年続くと予測したとしたら、常識外れのそしりを受けるだろうか。答えは否である。中国経済は間違いなく今後の30年も高度成長を続けるだろう。
輸出と投資が高い比重を占め急成長を支えるという中国の成長モデルはエネルギー資源に大きく依存することから、国内外の専門家の多くが、エネルギー資源が欠乏したりその利用効率が悪化したりすれば、中国は経済成長の足をひっぱられる形となり、高度成長を持続するのが難しくなるだろうと考えている。しかし、高度経済成長を続けたり終えたりした新興工業国家を歴史的に見ても、エネルギー資源の供給不足によって高度成長が断ち切られた例はない。
日本には資源がなかったが、オイルショックもその高度経済成長の歩みを止めることはなかった。日本の場合、その高度成長の終焉はエネルギー資源の不足ではなく、バブル経済の高騰と崩壊によってもたらされた。中国のエネルギー資源の供給状況は日本よりはるかに恵まれており、中国の経済成長がエネルギー資源不足によって阻害される確率は日本よりもさらに低いものと見られる。