中国経済は過去30年にわたって「格差拡大方式」により推し進められてきた。経済の高度成長は主に都市部と国土の東部地方に集中しており、成長条件に恵まれたそれらの地域が単独で急速成長することにより、表向きの高度経済成長が形作られていたと言える。
人口の大多数を占める農村や国土面積の大部分を占める中西部では高度成長は見られない。つまり、全局面的な高度成長ではないのだ。現在でも人口の60%は農村に住み、中・西部で暮らしている。この状況において、低所得者の収入を増やし格差を埋めるような経済成長モデルを考えれば、その余地は非常に大きく、高度成長を持続しえる伸びしろがあるのは明らかである。
都市部と東部地方が先行する方式の高度成長を30年続けてきたのだから、農村と中西部の発展が追いつくのにも同じだけの時間が必要となるはずである。こういった背景から、今後30年の間で中国の経済成長モデルは、格差拡大式の動的成長から格差縮小式の静的成長へと転換するものと考えられる。(作者は清華大学中国と世界経済研究センターの袁鋼明研究員 )
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月9日