2000年より以前の中国では、石炭・鉄鋼・コンクリート・非鉄金属・化工原料などのエネルギー資源の産出量の伸びがGDPの伸びを下回っていたし、2000年より後の一時期、エネルギー資源の不足が経済成長のボトルネックとなったことが確かにあった。しかしその後、供給不足によってエネルギー資源の生産が促された結果、生産の高度成長が見られ、資源不足はたちまち解消された。
中国のエネルギー資源産業における競争原理によって、2000年以後のエネルギー資源生産の伸び率がGDPの伸びを上まわる状況が生み出されたことになるが、これは一部の人々が思うようなエネルギー生産過多ではなく、中国経済のエネルギー資源供給状況が改善されたという実際的意味を持つのである。このような改善を経て、中国経済の高度成長はエネルギー資源生産の高度成長と効率向上という足場の上に進行するようになった。逆に言えば、中国経済の高度成長は以前にも増して手堅いエネルギー資源条件という助力を得ることになった。
供給による状況改善というモデルに照らしてみると、中国経済の高度成長はまだまだ長く続けられそうである。しかし、需要に支えられた成長メカニズムとして見た場合、消費ではなく輸出と投資に依存した中国経済の成長モデルでは、経済全体が高度成長を続けることは難しいと思われる。消費需要の比重を高め、輸出と投資の需要を需要不足解消に転化することができなければ、中国経済は高度成長を続けるための需要を失うことになる。さらに懸念されるのは、消費比重の低下の背景として、市民の収入増加が投資の増加に比して鈍いという現実があることである。したがって、消費ではなく輸出と投資に依存する成長モデルを変えない限り、中国経済の高度成長は早晩行き詰まるだろう。