政策の決定と執行は別に
中国の外貨準備の増加は、中央銀行によるマネタリー・ベースの供給を代価としており、マネタリー・ベースの供給スピードの加速によって、国内のインフレリスクは高まっている。政府は「相殺」政策を通じて過多な通貨を吸収することができるが、通貨当局には十分な金融手段がなく、過多なマネタリー・ベースを相殺する効果的な資産がないため、相殺の効果は明らかではない。真の解決には中国の資本市場を発展させる必要があり、これは長期的なプロジェクトである。よって、中国は外国為替安定基金を設立して、できるだけ早く外貨準備を中央銀行の貸借対照表から移し、同時に、外貨準備の操作と通貨政策の操作を別にするべきである。日本の外貨準備管理体制を参考にして、政策決定と政策執行の距離を適当にとるように努め、財政が政策を決定し、中央銀行がそれを執行するという外貨準備管理体制を形成しなければならない。
関係法律の整備
中国の外貨準備管理と運用に関する法律法規はまだ不十分であり、『中国人民銀行法』の第4条と第32条に外貨準備の経営について原則的な規定がなされているだけで、外貨管理の基本法規である『外貨管理条例』には、外貨準備の運用に関する規定はない。関係法律が不十分であるために中国の外貨準備管理・運用は拠り所にするものがなく、法的リスクは非常に高い。よって、中国は関連の法律法規を制定し、外貨準備管理の実施規定を細分化するとともに、外貨準備の管理体制を整備し、良好な法律環境を構築して、外貨準備の経営管理に法律による支持と保障を提供する必要がある。