シアトルの建築家であるスタッド氏は中国の有り難味をもっとも身にしみて感じている一人ではないだろうか。去年から、彼の会社は中国上海と多くのデザイン契約をしてきている。中国の顧客は主に上海の不動産デベロッパーが多く、中国のセレブ向け住宅をデザインして欲しいという依頼が来る。契約には、別荘の周辺設備のデザインも含まれているものもあり、金額にしておよそ5000万~1億元(4.5-13億円)にも上る。中国のデベロッパーたちは、スタッド氏が以前デザインしたカリフォルニア州のパームスプリングスのリゾートをちょっと見ただけで、彼と大きな契約を結んだのだという。そんな様子を見て、スタッド氏は「中国の市場は決して止まることなく突っ走っており、まるで時間と競争でもしているようだ」と言った。
スタッド氏のような従業員17名程度の中小規模の設計事務所は、中国の経済発展の恩恵を受けているアメリカの建築会社のほんの一部に過ぎない。これらの会社には中国のデベロッパーたちから、高層ビルや別荘、高級マンションに対するデザインの依頼が舞い込む。それだけではなく、アメリカのデザイナーたちは、中国の顧客はアメリカよりも良いと感じているようだ。中国の顧客たちはえり好みせず、デザイナーたちは様々なコンセプトにチャレンジすることができるという。特に豪華な建築に関しては、デベロッパーたちはほぼ全面的にデザイナーのコンセプトに従い、仕事を任せる。そして、最も肝心なのは、彼らはお金を惜しまないと言うことだ。