世界の産業チェーンで重要な地位を占める日本を襲った大地震により、重要な部品の供給が不足し、世界の自動車産業、ハイテク電子産業、飛行機製造業など多くの産業で生産に支障がでている。ゼネラル・モーターズも生産停止を発表した企業の一つとなった。
分析によると、困難に直面した多国籍製造メーカーは世界のサプライチェーンのリスクについて見直し始めているという。物流と運送のコストが上昇している背景の下、これらのメーカーは産業移転の歩調を速め、低コストのアジア国家から末端市場により近いアメリカか南アメリカに移転しようとしている。
地震がサプライチェーンを断絶
今週、ゼネラル・モーターズは生産停止を発表した多国籍企業の一つとなった。日本から調達する部品が地震により不足したことで、ゼネラル・モーターズはアメリカ・ルイジアナ州の工場を停止した。野村証券は、自動車業界が受けた影響は今後次々と現れてくると予測した。
アップル社も部品の供給不足に直面していることが明らかになった。ロイター社の報道によると、アップル社のiPad2の多くの部品が日本で生産されており、物流がストップしたことで、日本産の電池を調達することが難しくなり、また、日本以外の供給経路を探すこともできていないという。ソニー・エリクソンも部品の不足により携帯電話の生産に支障が出ていると発表した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ボーイング社は先週、日本産の飛行機部品が供給不足に陥っている問題について研究中であると発表した。ボーイング787ドリームライナーの約3分の1の部品は日本から調達しているという。
マーシュ・リスク・コンサルティングのサプライチェーンリスク管理責任者であるリンチ氏は次のように述べた。
「地震による多くのサプライチェーンの問題は決して生産設備の損壊によるものではなく、交通問題とエネルギー供給不足が招いた問題である。地震により交通がストップしたことで、製品を空港や港まで運送することが不可能となり、従業員の通勤や工場の原料供給にも影響が出た。また、原発事故により引き起こされた断続的な停電は、日本のサプライヤーの生産にも影響を与えた」