今、中国のメディアでは、ほとんど毎日のように、第12次五カ年計画の目標達成について、さまざまな視角から、学者、シンクタンク関係者が「百家争鳴」、「百花斉放」の形で、自説を開陳している。
私見ではあるが、改革、開放三十年来の現実をすでに目にし、実感しているので、これらの目標は実現できる、と見ている。ただ、そのためには、国民を一致団結させて努力させることが不可欠であると思う。それも最近のさまざまな動きから見ていると、着々と手が打たれているようである。
私はかつて仕事で日本に長期滞在したことがあるが、当初、日本ではクルマ2台持っている家庭もかなりあり、生活レベルがかなり高いことを目にした。私自身、自分たちの世代ではこういうことは現実にはならないだろう、次の世代の人たちがそういう生活ができるようになるに違いないと思っていた。そして、それまで受けてきた教育で、われわれの先輩たちはもっと苦労し、はては命を落とした人がいることも知っていたので、自分たちは陸上競技のリレーのようにバトンを持って走り、「次の走者にそれを渡せばいいのだ」と自分でも納得していた。
ところが、改革、開放の成果によって、われわれも電気冷蔵庫、クーラー、カラーテレビを使い捨てにできる時代になった。一族の中にはクルマ2台を持っているものもいる。経済面での発展はすばらしいものがある。しかし、なんと言っても、中国はまだ発展途上国だ。私は時々、中国の西部へ行っているが、北京、上海、広州と比較すれば、まだ格差があることも否めない。したがって、第12次五カ年計画期以後の30年で中国を中程度の発達国にするにはまだまだ努力が必要であることも感じている。