民間経済により多くの発言権を与えることは中国改革の既定路線である。数年前、世界金融危機に対処すべく、中国は積極的な財政政策を講じ、インフラ建設を進めた。これは政府主導のものであった。現在、世界経済にはまだ課題が残っているものの、短期的なリスクはすでに無くなっており、経済状態が比較的正常になれば、民間経済の役割をさらに発揮させる方針は実現されるに違いない。国の経済と人々の生活に関わる重要な産業においては政府が役割を発揮し、一般業種においては、改革の既定路線にしたがって、民間経済を主導とするべきである。
しかし、発展が波に乗った状況の下では、不動産投機の過熱や所得配分の格差などに注意する必要がある。
所得配分問題は長期的な積み重ねによるものである。改革を確固たるものにし、深化させれば、効果は徐々に明らかとなってくる。ここ数年、所得配分問題は良くなってきている。低所得層の賃金はここ数年で急増し、昨年の農民の所得上昇率は、都市住民の上昇率を初めて超えた。(文:世界銀行チーフエコノミスト 林毅夫)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年4月25日