▽世界一をどのように算出したか
現在通行しているのは、名目為替レートによって各国の経済規模を算出するというやり方で、これは米国を初めとする西側先進諸国が「人民元レートが低く見積もられすぎている」と非難する際の口実にもなっている。
だがIMFは今回、このやり方ではなく「購買力平価(PPP)」という指標を採用した。PPPに基づいて算出すると、中国経済の規模は今年の11兆2千億ドルから2016年は19兆ドルに増加する一方、米国経済の規模は今年の15兆2千億ドルから2016年は18兆8千億ドルに増加する。米国経済が世界全体に占める割合は17.7%に低下して、現代の歴史の中で最低の水準になる一方、中国の占める割合は18%に上昇し、さらに上昇し続けるという。
中国は年初に世界銀行による新たな国際比較プロジェクトに参与したため、中国の国内総生産
(GDP)をPPPで換算し、他国と比較することが可能になった。だが北京大学経済観察研究センターの仲大軍主任は「国際金融報」の取材に対し、「中国の実質GDPを過去の市場レートで計算すればこれほど高い数字にはならない」と指摘する。
これについて前出の奚副主任は、理論的にはPPPによる計算方法は名目為替レートによる計算方法より確かに科学的で実際的だが、レートの不安定性が目立ち、その影響も受けやすいと話す。
だが奚副主任は次のようにも指摘する。購買力平価を採用した計算方法では、製品価格の具体的な計算方法が不適切であったり、選択した購買製品が不適切であったりすれば、計算に誤差が生じることになる。労働集約型の製品を選択した場合とハイテク製品を選択した場合とでは算出される購買力平価が異なることになり、これに基づいて導き出される「中国経済が米国を追い抜く時間」も変わってくる。