▽利用される「世界一」
実際、IMFがこのたびの中国経済に対する予測で名目為替レートによる計算方法を用いず、攻撃の矛先を人民元レートに向けているとの疑いを晴らしても、最終的な結論は西側の何らかの意図をもった人々に「利用されやすい」ものとなった。米国のワシントンD.C.にある戦略国際問題研究所(CSIS)アジア部門のビクター・チャー顧問によると、中国に隣り合うアジア諸国は最も先に利用される一群になる可能性がある。この地域にある多くの国はこれまでにないような方法で米国の協力を期待しているという。
ニューヨーク大学スターン・ビジネススクールのラルフ・ゴモリー教授によると、現在、二つのぶつかりあうシステムがあり、一つは中国の国家主導型の資本主義であり、もう一つはより自由な米国の資本主義だ。西側諸国の人々が目にしたのは、発展に向けた大量の潜在的エネルギーが米国から中国に移転し、労働チャンスは中国に移り、米国の潜在的な発展エネルギーが徐々に消滅する一方で、中国のエネルギーが拡大を続けているという情景だ。これは米国社会の二極分化を深刻化させている大きな原因でもあり、利益を得る人と職を失う人とでは情況が大きく異なってくる。
奚副主任は「実際のところ、多くの西側先進諸国の政府関係者は中国の一人当たりの経済水準が世界ランキングではまだ後ろの方にあるということを知らないわけではない。ただあえて言及を避けているだけだ。こうした国の一般の人々は中国をきちんと理解していない。このため政府の言論の影響を受けやすい。中国は国際社会での活動の中で、適切な機会と場面をつかまえて、本当の中国を世界に示さなければならない。過度に反応する必要はない。過度に反応すれば言い逃れの詭弁だとみなされる。だがずっと反応を返さないのもよくない。世界中の人々に中国の遅れや困難といった事実を思い切って示さなければならない。そうしなければ、西側諸国の思考方法に従って、中国は西側の言っていることを黙認したのだとみなされてしまう」と話す。
「人民網日本語版」2011年4月27日