軍事支出と人口統計
絶対的成長と相対的衰退を考える上で、ある種のデータが参考となる。
アメリカの軍事支出は大幅に増加した。2010年アメリカの軍事支出はアメリカを除く北大西洋条約機構(NATO)加盟国の総和の2倍以上となっている。2000年の時点では、わずか1.7倍だった。2010年、アメリカの軍事支出はロシアの17倍、中国の9倍となっ ている。2000年はそれぞれわずか6倍と7倍だった。
人口統計データを見ると、2000年のアメリカの人口は2億8200万人、世界人口の4.6%だった。2010年にはアメリカの人口は3億1000万人に増え、世界人口に占める割合も4.9%まで上昇した。2000年、アメリカの人口はEU15加盟国総人口の59%相当だったが、2010年には78%まで上昇した(EU15加盟国で計算)。2004年から2007年の間にEUに加盟した12カ国を含めた場合、この比率は62%となる。
2000年から2010年、アメリカの人口の伸び率は日本より10%、ロシアより13%高い。中国とインドの人口は多く(それぞれ13億人と12億人)、アメリカの人口の伸び率は中国の伸び率と比べると0.16%とわずかに高いが、インドと比べるとやや低い。
人口の絶対数よりも、労働力人口と非労働力人口の割合のほうが重要である。中国や大部分の先進国と比べると、アメリカの労働力人口の数は相対的に多い。
それでは、「アメリカは一体成長しているのか衰退しているのか」に関して、上述のデータは私たちに何を教えてくれるのだろうか?