現実はデータよりも遥かに複雑
大低迷を経たとはいえ、GDP、軍事支出、人口増加、この3つの指標をみると、アメリカの成長傾向は明らかなように見える。
しかし、相対価値で計算すると、状況は比較的複雑なものとなる。過去10年、実際価値計算では、アメリカのGDPは大幅に増加していたが、G20のGDP全体と比べると、アメリカのGDPは19%下がり、中国と比べると、その下がり幅はさらに顕著である。
上でも述べたとおり、NATO、中国、ロシアと比べて、アメリカの軍事支出は明らかに上昇傾向にある。しかし、数字だけでは、アメリカが軍事に資金を投入し過ぎているだけではないか、他国の軍事に対する資金投入が少なすぎるだけではないか、ということが分からない。また、数字だけでは、軍事支出の増加が経済成長にプラスの影響を与えているのか、それともマイナスの影響を与えているのかということも分からない。
最後に人口データに関してであるが、世界人口と比べ、アメリカの人口はやや増加している。EUと比べると、増え幅はやや大きく、日本とロシアと比べると、増え幅はさらに大きくなる。しかし、中国、インドと比べると、増え幅はわずかに高いか、マイナスとなっている。