駐重慶日本総領事館の富田晃次首席領事の中国との縁は早くも19年前に始まった。1982年から84年まで復旦大学に留学し、北京大学で3年働いた後に帰国し、2009年11月に駐重慶総領事館の首席領事に任命されたという。富田首席領事は留学時代に2度、成都を訪れている。四川大地震の後に初めて成都を訪れたのは昨年の3月のことで、このとき目の前には現代化を果たした国際的大都市が広がり、地震の痕跡はほとんどどこにも見あたらず、被害が極めて深刻だった地域では、学校、病院、住宅、道路が一新されていたという。「成都晩報」が伝えた。
富田首席領事は「被災地の新たな様相は、おそらく再建のスピードに功を帰すべきものだろう」と話す。日本は地震多発国とはいえ、富田首席領事は南部の出身で、軽い地震しか身をもって体験したことはなかった。夫人は1995年に阪神大震災が発生した神戸の出身だ。富田首席領事は「四川大地震の映像資料を見ると、神戸の地震と同じで、破壊力がとても強かった。まさか地震から3年で、再建計画が完了するとは思いも寄らなかった。被災地の人々の暮らしは以前に戻り、以前よりよくなっている場合すらある。日本の政府や都市が神戸にさまざまな支援を速やかに提供してくれたし、日本は非政府組織(NGO)の動きが非常に活発だ。でも中国の一年前の再建ペース
は、神戸であれば少なくとも5年の時間をかけなければなし得ないものだった」と話す。
四川大地震の再建ぶりが富田首席領事に与えた深い印象のうち、最も印象的だったのは系統的な計画や外部の都市が被災地の都市を一対一で支援する「対口支援」、効率と品質をともに重視する姿勢だという。また富田首席領事は、東日本大地震に際しての四川省からの支援に謝意を表した。四川省赤十字(紅十字会)の常務副会長は駐重慶日本総領事館に出向いて、瀬野清水総領事にみずから100万元を手渡したという。富田首席領事は「その時、私もその場にいて、四川大地震の被災地の人々からの義捐金だとうかがった。中には子どもたちが寄付してくれたお小遣いも入っていると聞き、非常に感動した」と話す。