ボストン・コンサルティング・グループのコンサルタント、Hal Sirkin氏は今年5月、「米国国内のインフラが大幅に抑制されたのは、米国が生産拠点を中国やその他の地域に移転したからだ。それらの地域のコストは米国国内の20%から30%でしかない。しかし、コストの大幅な削減ができた状況はここ数年で終わりを迎えた」としている。
米国国民の消費のうち、中国からの輸入品が占めるのは7.5%だ。中国での製造価格の上昇が、米国のCPI指数に直接影響することはないものの、米国の輸入品のうち5カテゴリーでは中国製品が60%を占めており、また中国での製造コスト上昇が、他の発展途上国の製造コスト上昇も牽引することは忘れてはならない。
中国人労働者の賃金水準が世界経済に影響していることは疑うべくもない。製造業の低インフレ時代は終結し、世界の産業チェーンは分化するだろう。西側諸国は中国のほかに低コストの生産拠点を探さなければならない。1950年代は日本、1970年代は台湾、1990年代は中国大陸。次なる拠点はどこだろう?規模から考える、インドとインドネシアを除いて他はないようだ。
中国人労働者の賃金上昇が中国経済にとって吉となるか凶となるかはまだ不透明だ。