数々の発明が編み出され、京滬高速鉄道は常軌を逸する工期で竣工。
急ピッチで仕上がった高速鉄道の安全面への疑問視する声が専門家から上がり始めている。北京交通大学の趙堅教授は、「最大の問題は、高速鉄道は完了後、沈下するということにある。国外では軌道を敷設した後、4~5年ほど放置し、自然に沈下させてから、運行開始もしくは何らかの対策を講じている」と述べている。
長期に渡り鉄道工事の第一線で活躍してきた責任者の話によると、高速鉄道の工期は、海外では約10年かかるそうだ。軌道路盤は、出来上がってから2~3年ほどの期間をかけて自然に沈下させなければならない。中国の高速鉄道の工期は短く、軌道路盤を沈下させる期間が短かった。そのため、数多くの対策が採られている。
京滬高速鉄道の80%の区間は、高架鉄道橋を採用している。地中深く基礎を打った強固な橋脚はまず沈下することはない。羅卿副総経理によると、大ブン河を渡る大橋の橋脚の根入れ深さは、最高で54mに達している。54mと言えばビル18階に相当する。
北京鉄城建设監理有限公司の李克賢副総経理は「最大の心配は土台だ」と言う。山東省青後荘辺りは軟弱地盤である。軌道路盤が完成後、沈下測定をした結果、基準を大きく超す50mmも沈下していた。後日行なった測定結果も満足できるものではなかった。1年ほどで60mmも沈下していたのだ。
不等沈下する場所には軌道は敷設出来ない。専門家らは、最初の地盤に対する基礎工事が甘かったという意見を出している。そのため、この区間の軌道路盤に荷重をかけ、あらかじめ土台を沈ませておくことを要求している。この措置を採った後、安定した測定結果が得られた。
李克賢副総経理が所在する北京鉄城建设監理有限責任公司は、京滬高速鉄道における黄河橋から徐州市賈旺区までの270km近くの区間の建設監督を請け負っている。建設施工会社が設定した沈下モニタリングポイント以外に、この監督会社は、重点的な区間の沈下状況を評価・検査するための管理監督チームを3チーム設置している。
李克賢副総経理によると、京滬高速鉄道の軌道路盤は完成してから、冬と夏を越している。夏の雨水と冬の凍結にさらされて、土台の固化はまず問題ない、と述べている。
前述した鉄道工事の第一線で活躍してきた責任者によると、立ち退き交渉のトラブルなどが原因で、建設会社に与えられる工期が短縮されている。このため、沈下に要する期間として1年が設定されているはずだが、区間によっては出来ていない箇所もある。
敷設地盤の沈下期間が足りなければどうすべきか?施工隊は締固め機械を使うなど、数々の施工策を講じ、地盤を人工的に固化している。この責任者は「安全面から考えると、ゆっくりと時間をかけて自然に沈下させた方がよい。人工的な固化では、損壊が生じる可能性がある」と述べている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年6月8日