運行時速を350キロから300キロへ引き下げ、時速200-250キロの列車を大量に採用。中国の高速鉄道の発展はモデル転換の最中にある。高速鉄道の減速は連鎖反応をもたらしている。軌道交通産業に目を向けると、国内のリーディング・カンパニーである中国北車長春客車株式公司(略称:北車長客)も、世界上位500に入る交通設備供給業者であるABBグループも、国の政策と市場需要に適応すべく研究開発の方向性を積極的に調整している。
■関連産業は計画を調整
スイスとスウェーデンのABBグループは長年にわたり世界の軌道交通産業に製品やサービスを提供している。大同ABB牽引変圧器有限公司市場販売部の羅建国経理は長春で開催された「中国(長春)国際軌道交通展覧会2011」で、同社が鉄道部の指示に沿った時速200-250キロの軌道車両関連設備の開発を検討していることを明らかにした。
「わが社の変圧器は国内の全車型をカバーしている」と羅経理は言う。「鉄道部は最高時速を300キロにするとともに、時速200-250キロの車両を大量に採用するよう指示した。わが社は現在、各客車メーカーと共にこの方向性に沿って計画を調整している」。
長春市は現在「世界レベルの軌道客車生産拠点」を目指している。それを支えるのが中国最初の鉄道客車生産工場からアジア最大の高速鉄道客車生産企業に発展した北車長客だ。
同社アシスタントチーフエンジニアの趙明花氏は、時速160-300キロに適応可能な客車の生産プラットフォームを開発したことを明らかにした。
■日本の専門家は高速鉄道の減速を支持
「日本の新幹線は最高時速320キロで、減速前の中国の高速鉄道の方が速い」と日立グループ海外交通営業本部海外第3部担当部長の加藤義明氏は指摘する。中国の高速鉄道の減速について加藤氏は「減速は良いことだ」と言う。
「実は高速鉄道の運営は時速だけに目を向けるのではなく、安全性、快適性、定刻性など他の技術も重要だ。中国は現在高速鉄道の時速を引き下げているが、最も重要なのは安全性と定刻性の強化だ。新幹線は開通当初は時速250キロだった。その後、技術の向上と安定に伴い、少しずつ引き上げていった。中国も時速300キロから少しずつ引き上げていくのが良いと思う」と加藤氏は言う。