世界経済は緩やかに回復しつつあるが、その歩みは予測されていたよりも鈍い。アメリカは就業率の低迷に悩まされ、不動産市場にも活気がないため、経済が一時停滞している。日本経済は被災後の復興の関係で一時的に頭打ちの状態だが、時期が来れば上向きになろう。ユーロ地域は債務危機による難局を迎えており、回復力に欠けている。ギリシャが第二次危機に陥り、欧州債務危機の「震源地」となったことで、欧州中央銀行はインフレ対策と債務対策のはざまで難しい選択を迫られている。このように、世界経済の回復には多くの不確定要素が含まれている。
中国経済がハードランディングすることはない。
景気減速基調は第3四半期始めまで続き、同四半期中頃には安定的上昇となり、第2・3四半期で経済は底を打つ形になる。第3四半期GDPは前年比で8%、前期比で9.2%程度成長する見通し。第3四半期で政策に調整が入り、第4四半期GDP成長率が9.6%に達すると予測されている。成長傾向を見る限り、中国経済は穏やかな調整局面にあり、ハードランディングになることはない。2011年中国経済の末端需要はやや下火になり、投資重視の傾向が強まるだろう。
インフレ率の反落も予測可能である。
6月もCPIの最高値が更新されることが予測されているが、インフレを取り巻く環境が変わってきている。まず、世界経済の回復が予測を下回っていることで、大口商品の価格上昇によってもたらされた輸入インフレが解消されつつあるという側面がある。このほか、経済成長の反落がインフレ圧力を弱めるという点、食品価格が値上がりの後期にさしかかっているという点もある。こうした要素すべてがインフレ率反落の趨勢を後押ししており、年末には3~4%程度にまで下落し、2011年通年のCPI上昇率も4.7%に抑えられることになる。