(8)貿易黒字が大幅に縮小。人件費の上昇と労働力資源の減少に伴い、中国の輸出優位に変化が始まる。経済のテイクオフ段階の継続により、総需要の力強い拡大が続く。これは輸出需要よりも急速な輸入需要の伸びをもたらすに違いない。このため中国の貿易黒字は将来大幅に縮小する。貿易赤字が通常の状態になる可能性すらある。
(9)外貨買取専用資金を柱とする通貨放出ルートが次第に変化。貿易の変化が中国の経済運営に与える影響は、経済成長要因の構成の変化に止まらず、より深いレベルでの変化が通貨放出形式に生じる。黒字減少により中国のマネーサプライにおける外貨買取専用資金の割合も急速に低下する。中国にとって外貨買取専用資金は長年にわたり通貨放出の主要ルートだった。将来の貿易バランスの回復に伴い、外貨買取専用資金を柱とする通貨放出ルートは徐々に変わる。
(10)金融深化の過程が逆転。改革開放以来の長い周期の視点から見ると、市場化の進展に伴い、中国の金融深化比率(M2/GDP)は急速に高まった。金融深化は一面において経済システムにおける通貨の余裕度の高まりを意味している。21世紀にはいると中国は正常な経済運営の維持において、もう金融深化を必要としなくなった。だが外貨買取専用資金を通じて通貨は増加し続け、金融深化比率は世界最高水準に達した。これはインフレと資産バブル進行のリスクを覆い隠しもした。2009年、金融危機対策で異例の通貨放出により、中国の金融深化率はピークに達した。通貨放出の変化に伴い、将来の金融深化率は正常値の1.20へ回復していく。
これら10大特徴は第12次五カ年計画期間に徐々に現われ、第13次五カ年計画まで持続する。その兆しはすでに現れ始めている。中国経済の成長が「中等収入の落とし穴」に陥らないようにするには、こうした経済成長の法則に順応し、マクロコントロールと経済政策に相応の調整をしなければならない。(1)から(4)は事実上、平穏な経済成長の持続が可能であることを意味し、(5)から(7)は経済成長要因の転換、および経済モデル転換下の工業再生の必要性を明らかにし、(8)から(10)は経済成長がバブル化しないことを意味している。以上の特徴を実現するには経済の内外均衡と工業の高度化という2つの基礎において突破口を開くと共に、経済システムの「脱金融化」路線を長期間堅持することが必要だ。
「人民網日本語版」2011年7月5日