◆中小都市も購入制限
自家用車の増加ペースの加速は、国民経済の持続可能な高度成長、国民所得・消費レベルの向上を反映したものだ。自家用車は現在、テレビ、冷蔵庫、携帯電話に次ぐ消費品となっている。
北京工商大学経済研究センターの周清傑主任は記者の取材に応じ、「自家用車保有台数が急増した最大の理由は、国民の所得レベルの向上、および中国経済の発展に対する自信の深まりだ。より多くの一般人が自家用車を購入するという夢を実現する一方で、中国の自動車製造メーカーも一般家庭に適した自動車の研究開発に成功しており、豊富な選択肢を提供している」と指摘した。
しかし同氏はまた、「自家用車保有台数の急増は、リーマン・ショック後の、政府の自動車工業に対する景気刺激策と関連している。自動車産業の爆発的成長は、2009年初頭に発表された『自動車産業の調整・振興計画』によるものだ。同計画のもと、一連の政策が発表された。購置税(車両購入時に掛かる税金)の半減、農村部での自動車購入を優遇する『汽車下郷』、買替えを促進する『以旧換新』、エコカーへの補助金等の景気刺激策により、自動車市場の発展は力強く後押しされた」と語った。
中国の自動車生産・販売台数は、2009年に共に1300万台を上回った。うち2009年11月の自動車販売台数は、前年同期比96.43%増の新記録を樹立した。自動車工業の高度発展により、中国は世界一の自動車生産・消費国となった。2010年通年の自動車生産・販売台数は共に1800万台を上回り、過去最高を記録した。
しかし景気刺激策が収束に向かいつつあり、一部の都市では自動車購入制限策が相次いで発表されている。北京は全国に先駆けて自動車購入制限策、ナンバープレート別の交通規制を打ち出し、さらに駐車料金の大幅な切り上げにより、自動車保有台数の増加を抑制した。貴陽市もこのほど自動車購入制限策の導入を発表し、中小都市の購入制限の幕開けとなった。
周主任は、「購入制限策により、北京等の都市における自家用車の保有台数はある程度抑制された。しかし短期的に見ると、購入制限策の発表により中小都市の自動車購入が刺激されている。多くの家庭は購入制限策が実施されることを懸念し、駆け込み購入に走っているのだ。北京のみならず、その他の都市の自動車市場の潜在力と成長ペースにも、眼を見張るものがある」と指摘した。