世界経済が米ドル中心であるため、米国は自国通貨でそのまま対外に支払うことができ、多額の外貨準備は必要ない。それに対して中国には世界屈指の「大富豪」としての悩みがある。外貨準備高の増加は、国際決済能力やリスク回避能力の向上、戦略資源の輸入拡大などにつながる。しかし、外貨準備高が増えれば増えるほどよいというわけでもない。もし最適な投資ルートを見つけることができなければ、膨大な資産価値が下がった際に、手をこまねいて見ているしかなくなる。
中国の外貨準備の大部分は現在、米国債購入に用いている。2010年の人民元の対米ドル相場は3.1%ほど上昇し、対ユーロ相場も11%ほど上昇した。この米ドル、ユーロの価値低下は中国の外貨準備に含み損をもたらしている。一方、中国の政府系ファンド「中国投資有限責任公司 」(CIC)の投資業績は悪くはないといったところだ。巨大な国家主権財産基金を有する同社は、どの国、どの分野に投資したとしても過度の注目を招き、政治的な障壁に阻まれやすい。