23日に起きた高速鉄道列車の追突・脱線事故は39人の死者を出したが、鉄道部はいまだ事故原因を明らかにしていない。経済参考報の記者が取材したところ、専門家の多くが今回の事故に対する驚きを隠せない様子で、その矛先を設備の品質と管理に向け、事故は「人災」によるものだと見ていた。
中国鉄道学会安全委員会の李仲剛秘書長は、「現在の鉄道は多くの閉塞区間に分かれており、もし前の閉塞区間に列車があった場合、軌道回路に赤いランプがつき、後続の列車は赤いランプの時には入れず、無理に中に入ろうとすると、車両の自動停車装置が作動し自動停車するようになっている。従来の自動閉塞装置でも完全に追突を防止できる。高速鉄道の設備はそれに勝る」と説明。「おそらく信号システムに問題が生じたのだろう」という李秘書長。雷対策専門家の関象石氏によると、落雷があれば痕跡が残り、落雷の時刻や場所を確認することができるため、落雷による事故の影響を調べるのはそう難しいことではないという。中鉄電気化局集団の単聖熊総工程師は、「落雷があったとしても、接触網には電気があったはずだ。でなければD301号は運転できない。事故の最大の原因はおそらく信号システムの故障だろう」と分析する。
中華鉄道網の于丁CEOは、「ここ数年の高速鉄道建設は速すぎた。工期が短く、品質面の管理が難しくなっていた。しかも最低価格で落札しようと、一部の企業は工事費や材料の価格を下回る価格で入札に参加しようとする。こうした状況が生じれば、材料の品質に問題が出る」と語る。ある信号設計総工程師は、事故はいくつかの要因が重なって発生したもので、列車に搭載されている自動保護システムを人工的に切断しない限り、追突は起きないという。人工的に切断したのでなければ、おそらく設備が原因だろうと推測する。
北京交通大学の王夢恕教授は、「事故の主な原因は、わが国の鉄道の総合管理水準が鉄道の発展に追いついていないことによるものだろう。まず、軌道運輸の人材不足。一般的に、高速鉄道列車の運転士育成には少なくとも3~5年かかるが、現状は運転士が極めて不足している。次に、鉄道職員の待遇があまりよくないため、鉄道部門が質の高い人材を保留できない上、運転士の仕事環境もあまり改善されていない。第三に、現在の三級管理体制が管理の質に影響している。鉄道部、鉄道局、各駅の三級管理体制は管理が過度に集中しており、管理がなかなか行き届かない」と問題点を指摘する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年7月26日