中国のGDPは40兆元(約500兆円)に迫り、日本を超える世界2位となった。また国民1人当たりのGDPは約4400ドル(約35万2000円)に達し、中所得国となった。
高度経済成長および国力増強の裏側で、ある現実が鮮明化されつつある。モデルチェンジの過程において、発展のバランス・協調性が失われ、持続可能な発展が脅かされた。貧困を脱した中国は第12次五カ年計画期間、「中所得の罠」という課題に直面している。
1人当たりのGDPが3000~1万ドル(約24万円~80万円)の段階は、中所得国が中等先進国となるチャンスを迎える時期である一方、数々の試練に満ちた時期でもある。同段階では経済バランス・社会秩序・心理バランスが失われやすく、「中所得の罠」にはまりやすい。
中国はこの罠にはまってしまうのだろうか。中国はこの障碍を乗り越えることができるのだろうか。
◆経済リスク
経済成長は「もろ刃の剣」である。改革開放以降、中国は国際的な産業の分業に参与してきた。中国は豊富な労働力、安価な人件費とエネルギー資源価格といった強みにより、外資の誘致を推進し国際市場に協力してきた。また労働集約型産業の発展を推進し、低所得国から中所得国へと急成長を遂げた。しかしそれによる代償も大きく、資源消費の拡大、低い利益率、発展の不均衡といった問題が生じた。
製造大国ではあるが製造強国ではなく、競争力を持たない。人件費が上昇し、人口ボーナスが低下しつつある。投資建設を急ぐ余り、環境問題が懸念される。需給バランスが失われ、国民消費率(国民消費の対GDP比)が低いままである。これらが中国の課題として存在している。