米国の債務をめぐる危機はあたかも羽をばたつかせるツマキチョウを彷彿させる。巻き起こった暴風はなんと太平洋かなたの中国の民間まで及んだ。
12日午前、中国の金融センター・上海は暴雨。だが、68歳の沈雲祥さんはいつも通り徐家匯広発証券取引所営業部に足を運び、小口個人投資家用の大ホールで「模様眺め」をしていた。
「月曜の寄り付きに思わず呆然。手元の株はほとんどが値割れした」と68歳の沈さん。
米国債の格付けの調整で融資コストが上昇するため、米国人の個人消費支出は一段と萎縮し、それが誘発する世界範囲の金融動の動乱は世界の実体経済を損なう。
「値下がりはいやだ、株式市場には大事にしてきたお金が。債務問題で、中国もとんだ災難だ」。沈さんは「金の器で手を洗う(金購入)」ことにした。
株式市場がもたらす心理的な圧力を憂慮し、沈さんは11日、長年にわたり売買してきた株券のほとんど、10万元相当の上海と深センのA株と8000ドルのB株を売り払った。