この特別な「銀行」、預け入れる、貸す、引き出すのはお金ではなく、思いやりと尽くす気持ち。庭を清掃したり、独居老人の面倒を見たり、知識を教えたり、その1つひとつを「預金」する。山東省沂源県南麻鎮の城北団地にある「思いやり銀行」。ボランティア登録リストを作成し、「口座」を開き、「通帳」も発行する。
今年80歳、高齢の唐現英さんは夫に先立たれ、子どもと離れて暮らしているが、このところ動くのが不便になってきた。家は老人にとって「古巣」。思いやり銀行があるのを知って唐さんは早速、掃除の「融資」を申し込んだ。訪れたボランティアの王仕芬さんは、掃除をしながら、世間話をしては老人の心をほどき、愉しい午後を過ごした。
以後、週末になると王さんは老人の家を訪れ、団地の出来事を話したり、掃除や洗濯、炊事をしたり、物を片づけたり。唐さんは久しく忘れていた笑顔を取り戻したという。
実は王さん、思いやり銀行の預金者第1号。真心を預け入れ、温かさを受け取れる最初の人だ。だが、思いやり銀行に預けた思いやり預金はまだ引き出していない。「まだ手足は動くし、体も丈夫。手助けできることなら、できるだけやりたいし、毎日が充実する。それに、年とれば、他人を手助けできるかどうか分からないし」
城北居民委員会主任の張濱さんは「思いやり銀行の魅力は、住民たちが尽くす愉しさをじかに体験できることにある」と話す。ボランティア登録者は50人を数え、うち15人が口座を開設、サービス時間はすでに300時間近くに上る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年8月19日