△最後の問題は国民が豊かであるかどうか
富を国民に還元するのが国を治める上策であり、国民が豊かになるが本当の豊かさというものだ。国の富か民の富かという選択では、民を選んで発展への道としなければならない。
改革開放スタートから30数年が経ち、われわれは歴史的な成果を獲得した。現在、外貨準備は3兆ドルを超え、国は豊かになったが、米国債ばかり購入し、積み上がったリスクに全国の人々は懸念を抱いている。国民の貯蓄は現在30兆元を超え、この資金を使って中国独自の「アップル社」を設立し、イノベーションの実力を高めることは十分に可能だ。ここ20年間、中国の財政収入の国内総生産(GDP)に対する比率は11.5%から25%に上昇し、米国の14.5%を大幅に上回るようになった。こうしたことから、「国の富を優先し、民の富を後にする」というやり方が、真の豊かさや強さへの歩みに影響し始めたということができる。
また民が豊かになる道のりでは、資産の均質性を改善する必要がある。中国の民間資産は少数者に集中し、世界銀行の報告によれば、中国の世帯の1%に41.4%の富が集中しているという。集中度は米国をはるかに上回り、中国は世界で二極分化が最も深刻な国となっている。
中産階級がイノベーションの力を欠いているため、われわれは動態が安定した社会構造を作れずにいる。これらはすべて冨の分配に関わる大問題だ。われわれが願うのは、分配制度の根本的な改革を通じて社会共同の豊かさを実現し、民の豊かさの基礎固めをすることだ。
アップル社をうらやむべきではない。アップル社はイノベーションの活力に富んだ組織形態に過ぎず、国に匹敵するほど豊かであるはずがない。中国には国と同じほど豊かな「アップル社のような企業」は出現しない。アップル社よりも大きな企業は国有企業であるからだ。われわれは資産をイノベーションの力に変えて競争力を高めるべきだ。米国政府の心配をする必要もない。民が豊かであれば、国も自然に豊かになるからだ。
「人民網日本語版」2011年8月24日