日本国債の格下げは、菅直人氏がすがっていた藁を踏み潰した。終わったばかりの民主党代表選挙で、野田佳彦氏は215票を集め、177票を獲得した海江田万里氏を逆転し、民主党の新代表に選出された。しかし、誰が菅氏の後継者になっても、日本政府の巨額債務が手に負えない問題であることは変わらない。日本国債の供給量が増加し投資家のニーズを上回り、さらに海外投資家が低い利回りを受け入れられなければ、海外投資家が円売りに走るというリスクは大幅に高まると見られる。
3月11日の東日本大震災の発生以降、菅氏の支持率はひたすら下がっていった。ムーディーズによる日本国債の格下げが菅氏の退陣を推し進めたことは間違いない。巨額の政府債務は、日本政府の頭につけられた「時限爆弾」となっている。
日本国債はまだ安全?
世界第3位の経済国で、裕福な国の一つである日本の政府は、長期にわたって「新債を発行し旧債を返済する」という形式をとってきた。そのため、過去20年以上、日本国債は年間平均40兆円という速さで増加し、公的債務がどんどん膨れ上がると同時に、国債依存度は何度も過去最高を更新した。ところが、日本の債務リスクの判断基準となる10年物国債の利回りは未だに1.3%前後を維持、20年物と30年物はそれぞれ1.79%と1.96%付近で推移し、いずれも低水準にある。日本で短期内に債務危機が起こる可能性はかなり低いと言える。