日本経済は大きなダメージを受けたが、米国はこれによって何の利益も得ることはできなかった。円切り上げを迫る論理は非常に簡単に思える。円が切り上げられてから、日本の産業競争力は低下し、企業が海外に移転し、これが米国の競争力の向上と貿易状況の改善につながった。ところが、「プラザ合意」前後に、世界のバランスを崩していく中国という存在が新たに加わることを米国は予測していなかった。
30年前の「人に損をさせ自分の利益にもならない」この協議を米国に継続させてはいけない。近ごろの中米の背景を見ると、すでに異なる時代の特徴が現れている。世界の労働市場の構造から、新たに市場に入る労働力は大幅に減少していることがわかる。中国の産業競争力は当時の日本と比べて非常に低く、人件費がいったん上がれば、資本密集型産業の海外移転が一斉に始まる可能性が高い。したがって、人民元切り上げを迫る動きは、米国の国民の視線を景気低迷や失業率上昇からそらすだけでなく、中国の産業競争力を低下させるという目的もあると考えられる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年10月13日