日本企業が近ごろ、円高という優位性を利用して海外企業のM&A(合併・買収)に乗り出し、世界の投資家から関心を集めている。武田薬品工業はスイスの製薬会社を買収し、アサヒビールはオーストラリアとニュージーランドの企業を買収し、そのほかにも大規模なM&Aが次々と行われている。日本企業の買収先は主にアジアで、日本企業がアジアで行ったM&Aは8月末時点で143件に達し、欧米の131件を上回った。日本企業は、市場が成熟した欧米に比べて、成長段階にあるアジアは潜在力が大きく、チャンスがあると見ている。
今年に入って、日本企業はマレーシア、ベトナム、インドネシア、インドなどで大規模なM&Aを行っている。その主な対象は製造業の企業だ。また、中国でのM&Aにも力を入れており、伊藤忠、塩野義製薬などによる中国での買収額は1億ドルに達した。統計によると、日本企業による中国でのM&Aは、アジア全体の30%以上を占める。