中国鉄鋼工業協会が先日発表した鉄鉱石価格指数が、国内外で話題を呼んでいる。これについて国家発展改革委員会価格部副部長の周望軍氏は、同指数の発表は世界ビッグスリーによる国際鉄鉱石市場独占状況を打破する上でプラス要因となり、中国鉄鋼業界にとって戦略的意義と象徴的な意味があると述べている。
一方で国務院発展研究中心市場所の研究員である劉衛民氏は、国内の通貨政策という観点からみると、調整政策が徐々に効果を見せ始め、鉄鋼の総需要がある程度抑えられているのだと述べる。
中央銀行は今年に入ってから通貨緊縮政策を続けており、六回にわたって預金準備率を引き上げ、金利も三回引き上げ、また一部の銀行に対し差別預金準備率を実施した。さらに先頃は預金準備金の納付基数を再度上げた。こういった一連の通貨調整政策の効果で、8月末の統計では狭義マネーサプライ(M1)と広義マネーサプライ(M2)の余剰額の同期比伸び率が揃って下落している。これは鉄鋼企業の資金チェーンを以前にも増して危ういものにすることに繋がる。特に中小の鉄鋼生産企業や貿易企業には影響が大きく、川下企業に売掛販売体制をとっているため、川下企業の資金不足で資金回収の停滞を招くことが予想される。そして川下企業の違約までに発展すると、鉄鋼関連中小企業のキャッシュフローはさらに滞る。これは鋼材の市場価格が抑えられる要因となる。