ここ数年、日本は出生率と死亡率が低下し、少子高齢化が深刻化している。厚生労働省がまとめた統計によると、2010年の高齢者扶養率(高齢者人口の労働力人口に対する比率)は40%を越え、アメリカの2倍、イギリスやドイツなど先進国よりも30%ほど高くなっている。2050年までに日本社会全体の扶養率は90%以上に達すると予測されているが、これは先進国の平均水準の2倍以上である。現在、日本の高齢者と児童を合わせた扶養率は60%前後に達しており、労働力人口の負担は極限に近づきつつある。
人口バランスの崩れは日本の経済発展に重大な影響をおよぼす。社会保障の負担が増大し、社会保障関係費費の収入と支出のバランスがとれなくなる。1990年から2007年までに、日本政府の社会保障関係費の支出は対GDPで11.3%から18.7%に増加した。一方で、税収負担率は29%から28.3%まで低下している。日本政府は社会保障関係費を基本的に国債の発行でまかなっているが、発行された国債は次の世代の負担となるため、現行の社会保障体系では今後運営の継続が難しい。
また、労働力人口も減少している。日本の15才から64才までの労働力人口は1995年の8717万人をピークに減少を続けている。2011年初めに発表された統計では、日本の労働力人口は2050年には、4471万人にまで減少すると予測されている。これは2005年のわずか3分の2だ。労働力人口の低下は、日本経済の成長を妨げるため、長期的な低迷からの脱却が難しくなる。