アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため米ハワイ訪問中の胡錦濤国家主席は、オバマ米大統領との会談の中で、米国の貿易赤字や高失業率などの構造的問題は人民元相場がもたらしたものではなく、今、人民元を大幅に切り上げとしても米国の苦境が救われることはない、と明確に表明している。
事実、人民元の対ドル相場は2005年7月時と比べると約30%上昇しているにもかかわらず、米国の失業率は7%から9%に跳ね上がっている。中国の輸入額は近年、輸出額をはるかに上回る大きな伸びを見せており、年次別、月別の貿易黒字にも減少傾向が見られる。
国内総生産(GDP)における貿易黒字額の割合は今ではわずか1.4%に過ぎず、国際社会の合意に基づく許容範囲内にまで低下している。