また、各種貿易データが米中間で大きく異なっているという現実を受け入れるべきである。米国の貿易赤字は実際には以前に公開したデータよりも大きく下回っているのだ。また、中国の対米貿易黒字中、加工貿易が80%近くを占めているが、その60%は米国系企業によるものである。こうした外資系企業は、中国の安い労働力や資源を利用し、加工生産した製品を世界各地に輸出し、多大な利益を得ているにも関わらず、貿易黒字額だけをあげつらって中国を責めている。
周知のごとく、世界中を席巻するApple製品はすべて中国で製造されている。だが、最終的に、その利益のほとんどは米国側に還元される。iPhone4の利益のうち58.5%が、iPadは30%が米国側にいってしまう。
だが、iPhone4を請負生産する中国の企業が得るのは利益のわずか0.5%というケースもある。iPadは少し多いがそれでも2%だ。企業活動のこうしたグローバルな分業化が進む現状を改善するには、単に為替を調整すればよいというものではない。