こうした数字は、中国が人民元切り上げを着実に推し進め、経済構造の最適化を図り、内需拡大型経済を築き、輸入を増やそうと努力し、均衡の取れた輸出入の増加を実現し、低迷する世界経済の回復に大きな貢献を果たしていることを示している。
だが、人民元の為替改革と均衡の取れた輸出入の増加の実現は、一歩一歩推し進めていくものである。
短期間で人民元の相場を一気に上昇させれば、世界経済や金融市場、また貿易の秩序面でも多大な混乱が待ち受けることは想像に難くない。米国の貿易赤字対象国は中国から他国に変わるだけであり、米国は製造コストがより高くつく国から輸入せざるを得なくなる。
そうすれば直接、米国の物価高につながり、国内の消費者の負担が増え、米国経済の回復や社会保障制度の維持向上を阻害することになる。