経済利益の政治化は中日韓協力の中で2つの局面となって現れる。
一つは利益分配の均衡性。三国間の政治的信頼が不足している中では、利益分配の不均等が暗い影を落とす可能性がある。もう一つは、国における異なる利益集団間の利益分配の均衡性。不均衡は政治闘争の道具として利用されやすい。日本の農業問題が典型的な例である。日本のある参議院議員は、「日本の農家は少ないのに、農民の利益を代表する議員は多い。このため、すべてのFTA交渉の中でも、農業問題が一番やっかいな問題となっている」と述べた。中日韓FTAの展望について聞かれた韓国の専門家が「肝心は日本だ」と述べたのはこのためかもしれない。
日本の問題は内部の利益闘争だけでなく、日米同盟もかかわっている。
日本のある学者が「日本はアメリカの子会社だ」とジョーク交じりに話したことがある。これは自嘲なのだろうが、ある意味で現実を表している。日米同盟の存在によって、日本はアメリカの利益にそむくことを許されないばかりか、アメリカの利益に合わせることさえ求められている。これは、ハワイで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)期間中に日本がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に参加すると発表したことからも分かるだろう。アメリカは太平洋を越えてアジアでの影響力を強め、東アジアを主導しようとしている。東アジア協力の重要性を主張する日本国内の意見はこれにより押さえつけられてしまった。