2010年5月より、官・産・学が一体となった中日韓自由貿易圏の研究が始められ、すでに6回もの検討会議が開催されている。この過程において、お互いの国益を守ろうとする中日両国の意見の不一致が出てきている。中日韓間の投資自由化協定に対する日本の態度はより積極的になり、中日韓間の貿易の自由化よりも投資の自由化を優先的に推し進めることを提唱している。だが、中国は三国間自由貿易協定の交渉の中で当該協定の交渉を進めたいと思っている。何故なら自由貿易交渉の上で、日本に譲歩させる切り札になり得るからだ。
東アジアは世界で最も複雑な経済外交を運営する地域である。中国、米国、日本、ASEANなど多くの国が長期にわたり、この地域で闘争を繰り広げている。また、近年にはインドやオーストラリア、ロシアまでもが介入し、当該地域の経済外交の構造がますます複雑化している。2008年の金融危機以降、世界の金融機関に対する中国の影響力や発言権は日増しに強くなっているが、東アジア経済外交においては中国の影響力や発言権は少ない。ほとんどが過去に播いた種が今になって実を結んだだけに過ぎない。