シンガポールの新聞「聯合早報」紙の論説は、欧州債務危機はユーロ危機と同一視してはならないと主張している。今回の危機によってユーロ圏の解体は起こない。すでに欧州債務危機はコントロールできる状況にあり、騒ぎの多くは市場の心理的要因にすぎない。今回の危機が一定の規模になれば、欧州中央銀行はさらなる債権購入計画を発動させるだろう。つまり欧州中央銀行はユーロを印刷することによって加盟国の債権を買うはずであり、ユーロが崩壊することはありえないのだ。
中国の対EU支援は、中国の地位を上げる好機である。中国の勃興は、ほかの国々にとっては脅威に感じられることだろう。しかし歴史的に見ればそうともいえない。なぜなら、「脅威を与えながらの発展」の他、「支援しながらの発展」というものもあったからだ。
歴史的に見て、アメリカの勃興は「脅威を与えながらの発展」で実現したものではなく「支援しながらの発展」で実現したものである。アメリカが世界一の大国になったのは、第二次大戦中、諸国に対してファシストからの侵略を救おうとした結果、実現したものである。同様に中国も、歴史を踏まえつつ「支援しながらの発展」の道を歩まざるを得ない。すでに今、中国にその機会が到来している。つまりこの欧州債務危機である。