もう一つ我々がテクニカルな面から考えたいのは、「交換条件」という問題だ。本質は政治権益の争いでなく、価格決定権の争いにある。
一連の欧州支援に関する交渉で、欧州は中国に対し「人民元の債権を発行するとともに、初期投資保証措置の提供をする」という条件を出した。しかし中国はそれに理解を示さず、欧州に対して三つの条件を出した。第一に、IMFにおける影響力をさらに付与すること。第二にWTOにおける地位を認めること。第三に対中武器禁輸措置を解除すること、の3つである。
これらの条件には政治的意味が多く含まれており、経済的意義は少ない。まずIMFにおける資金の割り当ては、中国にとってそれほど重要ではない。IMFは本来「国際的な慈善組織」であり、我々は慈善組織を通じて寄付をすれば良いし、また直接助けたい人に寄付しても良い。中国のやりたいことはIMFを通じて行う必要がないのである。困っている国家に直接支援し、彼らの直面する危機を乗り越えさせ、同時に国際経済という舞台で信頼を獲得できるように支援すれば良いのだから。