中国のWTO加盟が中日経済貿易関係にもたらした影響には、量的変化のみならず、質的変化も含まれる。
1、中国の日本向け輸出の貿易構造が改善しつつある。始めの低水準の製品から、加工品や高級製品に到るまで、多くの分野で日本と相互競争を展開している。2、中日双方の経済依存関係に逆転が生じた。WTO加盟前の2000年、中国の貿易総額に占める日本との貿易額は17.5%であったが、現在は約10%となっている。一方同じ時期に、日本の貿易総額に占める中国との貿易額は、8%から21%になった。3、中日欧米の三角貿易構造の形成。すなわち、中国が日本から高級部品を輸入し組み立てを行い、欧米の末端市場に販売するという構造だ。中日経済貿易提携は、世界経済と一体化している。
中国のWTO加盟後、日本の中国に対する直接投資構造も改善を続けている。まずは鋼鉄、石油化学、家電、一般製造業から、そして自動車、IT、省エネ・環境保護、ハイテク技術分野へと移り変わり、構造の改善とレベルアップが継続されている。
中国のWTO加盟後10年間、両国の経済貿易提携の健全な発展が中国経済の発展を促すと同時に日本にも利益をもたらし、互恵関係を築いた。中国経済の高度発展と「中国特需」が、日本経済復興の原動力となる。しかし健全に発展を続けてきた中日経済貿易提携にも、一定の課題が存在する。
1、中日貿易に「高位迷走」が見られる。「高位迷走」とは、この10年間の日中二国間貿易の平均成長率は約17%で低くない数値だが、中国の対外貿易総額の成長率と比較すると大きく下回っており、「迷走」の状態に陥っていることを指す。中国の対外貿易の全体的な成長ペースが、中日二国間貿易の成長率を上回っているため、全体に占める二国間貿易の比率が低下を続けている。