1980年代、長期にわたる貿易黒字により、日本の外貨準備高は巨額な額に膨らんでいた。アメリカ国債を大規模購入することで、日本は世界最大の債権国となった。日米経済は、いわゆる「ビクトリア循環」を形成したのである。
つまりアメリカ市場の持続的繁栄と日本製品の輸入が日本の黒字を膨らませ、それがアメリカに還流してさらにアメリカ市場の繁栄をもたらすというものである。
経済学者の謝国忠氏は、このような「貿易不均衡を前提とした経済モデルはまるで『出資金詐欺』だ」という。不均衡な取引は長期的に見れば破綻する。しかも「長期的な貿易黒字は投資の失敗を招く。バブルを引き起こしやすくなるのだ」。
実際、1980年代後半の日本はまさにバブル経済のさなかにあった。1990年初頭になると、「循環」の均衡が失われ、バブル経済は崩壊した。そして今日に至る停滞の始まりとなった。