「現代の日本は少子化傾向が顕著で、児童アニメの市場も縮小しつつあるが、購買力のより高い成人のアニメマニアがこれを補っている関係で、全体としての少子化の影響はそう大きくない。目下最大の懸念は放送メディアのデジタル化とネット化であり、将来の発展方向が読みづらいということにある」と布川氏は述べる。
日本アニメは伝統的な手作業による作画を採用しており、制作コストが比較的高く、制作サイクルも長い。1963年に初のテレビアニメ『鉄腕アトム』が放送されて以来、テレビが主な放送メディアであり収入源であり続けたが、昨今はネットの普及とスマートフォンの台頭に伴ってテレビの視聴者が年々減少し、テレビ局より提供される制作費も限られるようになった。膨大な制作量と釣り合わない状況だという。これに加え、ネットが海賊版の温床になるという問題も新たに生まれ、制作会社が海外からの販売収入を失うのみならず、日本国内の市場にも影響が及んでいる。
日本のアニメ産業全体(アニメの周辺商品は含まない)の市場規模は2006年にピークを迎えた後、数年連続で縮小傾向にあるとの統計がある。直近の二年はやや回復しているものの、市場活性化は主に国外のアニメがけん引しているという現状である。またスマートフォンの普及後にアニメ作品のための新たな市場を開拓できるかは、いまだ未知数である。