中国が17日公表した経済統計データを受け、日本の産経新聞は、中国経済の「成長の鈍化」が日本および世界経済に与える影響は注目に値すると「懸念」を示した。新年を迎え、欧米経済の著しい衰退にともない、外向型の中国経済が今年鈍化するのは必然で、日本は世界第2の経済大国の地位を取り戻せると伝えるメディアがあった。しかしその可能性はないと筆者はみる。
周知の通り、経済規模の国際比較は米ドルベースで計算する名目GDPであるため、日本が中国を追い抜くには実質GDP成長率、物価上昇率のほか、本国通貨の対ドルレートの変化も無視できない。戦後、日本経済が欧米国家を抜く過程で、円高は重要な要素となった。日本は1949年から1971年8月まで1ドル=360円の固定相場を実施、その後1995年4月までに1ドル=80円にまで円高が進んだ。つまり1949年から1995年の間、日本の経済成長率はゼロだったとしてもドルベースで計算する名目GDPは2倍以上になる。
日本が円高によって「中国を抜く」には、両国の2012年のGDP成長率、物価上昇率、通貨の切り上げなど数々関連指標を考慮しなければならない。2010年の中日両国の名目GDPの差は6.9%に達し、昨年の日本の経済成長率と物価上昇率はマイナスだった。一方中国の昨年1~3月期の実質GDPは前年同期比10.4%増で、人民元切り上げなどの要素を考えると、年間GDPは前年の約20%増になる見通しだ。2012年の中国経済が日本の一部のメディアが報じるように鈍化したとしても、日本が中国を追い抜くのはかなり困難だ。さらに物価上昇や人民元切り上げの要素を考えると、円の対ドルレートは今年も20%以上上昇し、1ドル=65円かそれ以上の円高になる見通しだ。